高身長・包容力・年上

私の初恋は幼稚園の年長さんのころ。

お相手はたろうくん。
苗字は忘れちゃったなぁ。

「好きな人がいるの」と言ってみたくて、
見栄か嘘か、私は出会った時の事からやり取りした手紙の内容まであることないこと母に話していました。

好きになった理由も、プールの時にビート板貸してくれたとかそんなもん。チョロすぎる。

わざわざ可愛いレターセットを彼のお姉ちゃんからもらって手紙をくれたこともありました、私も返事を書くのがたのしかったなぁ。
中身は秘密(覚えていないだけ)

たろうくんとはよく昼休みに待ち合わせしていました。

これは、私の勝手なイメージなのですが、
体育館裏に屋根裏、裏技に裏メニュー等々、裏とつくものにはロマンがあるなぁ、なんて思います。

何を隠そう、その待ち合わせ場所もですね、
幼稚園にある、かなり年季の入ったウサギ小屋の「裏」だったんです。
体育館裏には勝てませんが、なかなか可愛いらしいんじゃないでしょうか!

ですが...この待ち合わせ場所にはちょっとした問題があるのです...えー、コホン。

「”なんということでしょう!”
当時幼稚園にあったウサギ小屋は円柱形、......裏?裏って?
ウサギ小屋の裏を目指したってたどり着けるわけないんです!だって、だって全部表を向いてるんだから!
裏という言葉の持つひっそり感がまるでゼロ......
匠の粋な計らいで幼稚園児の待ち合わせはめちゃくちゃです!」

たろうくんを待ったり待たせたり......
なんだかんだ言ってたろうくんとの待ち合わせ場所を変えないあたり、私もウサギ小屋を気に入っていたのかなぁ、なんて思います。

現に私の記憶も「ウサギ小屋>たろうくん」ですし。
たろうくんに会うためのはずが、
いつしかウサギ小屋に通うためになっていた...?


ち、違います、私の初恋はウサギ小屋相手なんかじゃありません。
......まさかね。

孫子 朋佳