いつからか 嘘をつけない 羊飼い
~むかしむかしのはなし~
”わたしね、わたしね、大きくなったらりょうくんのおよめさんになる!
じゃあ、ぼくは×××ちゃんのおむこさんになる!
りょうくん、やくそくだよ?
うん!やくそくする。×××ちゃんーーー”(ここで記憶が途切れる)
~10年後~
ーーーとある街かどーーー
”えーリョウそれホントー?笑笑”
”ホントだってー笑”
”…あのっ!(突然後ろから呼び止められる)
リョウ君…私のこと、覚えてる…?”
”えーこの人だれー?知り合いー?笑”
”えー俺知らないよー?人違いじゃありませんかー?笑”(立ち去ろうとする二人)
”…これ、覚えてない…?”(手には約束の印のミサンガ)(キョトンとするリョウ)
”…そっか、忘れちゃったんだね…”(走り去っていくと背中)
(リョウ、思い出す)
”…待って!”(女の子をおいて追いかける)
”ハア…ハア…やっと追いついた…”
”…あの子の事、いいの?”
”…思い…出したんだ…”
”ホントに…?”
”…ホントだよ”
”嬉しい…!リョウ君…好き”
”…俺もだよ××××”
………って×の数1個多いやんけ!!!!!
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~ある少年と少女のはなし~
少年は少女のことが好きでした。ずっとずっと好きでした。ある時、少女は親の都合で遠い遠いところに引っ越すことになりました。少年は思いを伝えるため、少女を屋上に呼び出しました。誰もいない放課後の屋上。とてもとても綺麗な夕焼けが見えました。少年の心臓はドキドキドキドキと校庭に響きそうなほど高鳴っていました。待ち合わせの時間になりました。少女はまだ現れません。少年はせっかくカッコつけて端っこの方に座っていましたが、なんだかそわそわして、屋上の入口の方に歩いて行きました。そしてそれを3回も繰り返しました。しかし少女はまだ現れません。少年の鼓動は更に速くなりました。少年は待ち合わせの紙を読み直しました。日付も時間もあっています。少年は少し息が苦しくなってきました。校庭の影もまばらになって少年がせっかくリサーチしたベストな夕焼けの時間がどんどん過ぎて行きました。しかし少女はまだ現れません。そのうち下校時間を過ぎてしまいました。少年は教室に自分の荷物を置いたままでした。少年は真面目でしたから、どんどん不安になってきました。少年は初めて校則を破ってしまいました。しかし少年は少女のことを待ちました。少年の鼓動は更に速くなりました。今にも爆発しそうなくらい速くなりました。そのうちすっかり日も暮れてしまいました。しかし、まんまるの月がとても綺麗でロマンチックでした。少年はもう一度待ち合わせの紙を読み直しました。やっぱり日付も時間もあっていました。少年は待ちました。朝が来るまで待つ覚悟で待ちました。途中、コツコツと足音が聞こえ、少女が来たと思いましたがそれは警備員のものでした。やがて本当に静かになりました。少年の鼓動はもうすでに爆発してしまっていて、あたりはしんと静まっていました。少年は待ち合わせの手紙を読み直しました。どうして彼女は来ないのでしょう。少年は考えました。考えましたが分かりませんでした。少年は月がてっぺんに登った後に家に帰りました。両親にも先生にもひどく怒られました。少年はシクシク泣きながらベッドに入りました。
………少年には自分で書いた手紙を少女に出す勇気が足りなかったのでした。
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~遠い遠い過去か未来かのはなし~
”またね、バイバイ”
彼女はいつもそう言って僕と反対のホームへと向かう。
”バイバイ”
僕は少し緊張して、でもそれを決して出さないようにして彼女に返事をする。
きっと片思いのまま終わるのだろうけど、そうじゃないことも何処かで願ってしまう。
”またね、バイバイ”
私はいつもそう言って彼と反対のホームへと向かう。
”バイバイ”
彼の声はいつも優しくて、あぁ帰りたくないなあって、同じホームならいいのになあって、でも結局私からは何も言えないで。振り返る勇気もなくて。
ホームに上がると君はスマホを見ている。視線を送るのが怖い。僕もスマホを見るしかなくなってしまう。立ち幅跳びでは越えられない線路1個分のキョリ。
向こうのホームに君を探してしまわないように、私はスマホの小さい画面を見つめる。こっそり上目遣いで君の方を盗み見たいけど、変に思われたりしないかなって、やっぱりやめる。地球と月より遠いキョリ。
駅にアナウンスが響く。電車がやってくる。二人を隔てる電車が轟々と音を立ててやってくる。二人に許されるのはその一瞬。二人は同時に顔上げ、お互いを永遠に見つめ合う。時が止まる。
…目が合うと同時に、かき消される永遠。そしてそれさえも心地よくて。
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恋に、恋してます。