ハートのチョコレート

初恋なんてセピア色の褪せた記憶でしかないけれど、色鮮やかに残るものがないわけでもないです。
例えば、バレンタインとか。

小学生の私が好きになったRくん。スポーツができて、元気で明るいムードメーカー。クラスの女の子の1/3くらいは彼のことが好きだったんじゃないかなと思います。

バレンタインの時期が近づく1月。友達の女の子の家で手作りのチョコレートを作ろうという話になり、各自で材料や器具を持ち寄って、各々の好きなものを作りました。
そこで何を思ったのか、私は直径15センチほどの大きさのハートの型を買ってきて、製菓用チョコを刻んで、ただ溶かしただけのハートのチョコレートを作ったのでした。
極め付けは上に飾った色とりどりのアザランやシュガースプレーたち。さぞ出来の悪いデコレーションだったでしょう。
それでも、あの時の私は「Rくんは喜んでくれるかな!!」と期待に胸を高鳴らせながらチョコを作っていたのでした。

バレンタイン当日。学校に食べ物は持っていっていけないので、私たちは放課後にチョコ配り歩きます。
渡した時のことは覚えてないけれど、どうせ恥ずかしがって中々渡せなかったのだろうなぁと思います。

……結局、この恋は実ることはありませんでした。
そこまで彼に入れ込んでいたわけでもなかったので、ショックとかはあまりなくて、「まあ彼モテるし仕方がないね」という感じでした。
初恋なんて、きっとそんなものですよね。

あぁ、でも、誰かのためにお菓子を作っているときは本当に楽しかったなぁ。

舞台 藤枝

 

 

 

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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00
3/18(日) 14:00/19:00


於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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