遠近法

心の底から憧れた先輩がいました。
その人が舞台で自信満々に演技をする様を見て、演劇部に入ることを決めました。
いつか舞台上でその人と同じ景色を見れたらいいなと思っていました。

2つ上の先輩でした。
同じ演目で3ステージだけ、あの人と同じ舞台に立ちました。
けれど、同じ舞台に立っていても、そこで僕の目に映る景色は、先輩のそれとは程遠いみたいで、
あの人は僕なんかよりずっと遠く、深い世界を見ていたのだろうと思います。
そして僕はせいぜいその人の背中を見ているので精一杯になるだけでした。

その人は日芸に行き、僕はといえば丸2年間演劇から離れて、あの人の背中ははるか遠くに行ってしまい、ギリギリ見えるか見えないかくらいになっていました。
いまでは彼の見ている景色がどんなものか、想像さえすることも叶いません。

それでももう一度、あの人と同じ舞台に立ちたいなどと思ってしまっています。
いつか、それがいつになるかわかりませんがいつか、同じ景色を見るところまで行きたいなんて思ってしまっています。





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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00


3/18(日) 14:00/19:00



於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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