記憶力が欲しい
幼稚園児だったころ、隣に住んでいた子と仲が良かったんです。
多分2人で人見知りして、普通に遊べるようになるまで結構かかったと思います。
小学生になってその子が引っ越したあとも、年賀状はもらっていました。途中からお互いに写真入りのじゃなくなって、もうその子の顔とかも覚えてないです。今どんな風になってるのか、ちょっと気になります。
年賀状を見て思い出すのは、家を行き来して遊ぶのが楽しかったなというくらいのです。あの子が本当におとなしくて優しい子だったのか、信用できる記憶力ではないけど、私はあの子と一緒にいるのが好きでした。
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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00
3/18(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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ハートのチョコレート
初恋なんてセピア色の褪せた記憶でしかないけれど、色鮮やかに残るものがないわけでもないです。
例えば、バレンタインとか。
小学生の私が好きになったRくん。スポーツができて、元気で明るいムードメーカー。クラスの女の子の1/3くらいは彼のことが好きだったんじゃないかなと思います。
バレンタインの時期が近づく1月。友達の女の子の家で手作りのチョコレートを作ろうという話になり、各自で材料や器具を持ち寄って、各々の好きなものを作りました。
そこで何を思ったのか、私は直径15センチほどの大きさのハートの型を買ってきて、製菓用チョコを刻んで、ただ溶かしただけのハートのチョコレートを作ったのでした。
極め付けは上に飾った色とりどりのアザランやシュガースプレーたち。さぞ出来の悪いデコレーションだったでしょう。
それでも、あの時の私は「Rくんは喜んでくれるかな!!」と期待に胸を高鳴らせながらチョコを作っていたのでした。
バレンタイン当日。学校に食べ物は持っていっていけないので、私たちは放課後にチョコ配り歩きます。
渡した時のことは覚えてないけれど、どうせ恥ずかしがって中々渡せなかったのだろうなぁと思います。
……結局、この恋は実ることはありませんでした。
そこまで彼に入れ込んでいたわけでもなかったので、ショックとかはあまりなくて、「まあ彼モテるし仕方がないね」という感じでした。
初恋なんて、きっとそんなものですよね。
あぁ、でも、誰かのためにお菓子を作っているときは本当に楽しかったなぁ。
舞台 藤枝
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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00
3/18(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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洗濯機
隣のクラスの男の子が好きで、割といつも目で追っていました。
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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00
3/18(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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BB弾
小1の時、同じクラスの4人で、毎日のように遊んでました。
仮に私以外の3人を、A君とB君とCちゃんとしときます。
A君のことが好きだったけど、どっからどう見てもA君はCちゃんと1番仲が良く、
私は諦めてました。
そのA君との思い出に、珍しく2人だけで遊んだことがあります。公園で一緒にBB弾を死ぬほど集めて、小さい岩にあったうろに隠しました。唯一と言っていい「2人だけの秘密」です。
でも結局A君は小1の年度末に転校してしまいました。
A君の親友だったB君も、小4で転校しました。
当時B君とは蹴ったりひっかいたりする仲だったので悲しくはなく、
ただ「A君との繋がりが薄くなっちゃうなぁ」と思っただけでした。薄情なものです笑
妬むよりも憧れていたCちゃんは、小2からクラスが離れて疎遠になりました。
さらに中学がバラバラになって、あの人気者だったCちゃんがハブられてるという噂を聞いて、
私の中で完全に過去の人になってしまいました。
A君との「秘密」のBB弾はいつのまにか誰かに盗られてて、うろには蜘蛛の巣が張っていました。後には岩ごと撤去されました。
こうやってA君との縁が完全に切れてしまった今は、あの初恋が他人に聞いた安い作り話のように思えます。
でもやっぱり私はちゃんとA君が好きだったんだなぁと最近思いました。
高3の模試の会場で、A君とすれ違って気づけたので。
見間違いだったのかも、しれないですけど笑
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劇団綺畸2017年度新人公演
『虚像を抱いて死ね』
作・演出 黒橋拓
3/17(土) 19:00
3/18(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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いつからか 嘘をつけない 羊飼い
~むかしむかしのはなし~
”わたしね、わたしね、大きくなったらりょうくんのおよめさんになる!
じゃあ、ぼくは×××ちゃんのおむこさんになる!
りょうくん、やくそくだよ?
うん!やくそくする。×××ちゃんーーー”(ここで記憶が途切れる)
~10年後~
ーーーとある街かどーーー
”えーリョウそれホントー?笑笑”
”ホントだってー笑”
”…あのっ!(突然後ろから呼び止められる)
リョウ君…私のこと、覚えてる…?”
”えーこの人だれー?知り合いー?笑”
”えー俺知らないよー?人違いじゃありませんかー?笑”(立ち去ろうとする二人)
”…これ、覚えてない…?”(手には約束の印のミサンガ)(キョトンとするリョウ)
”…そっか、忘れちゃったんだね…”(走り去っていくと背中)
(リョウ、思い出す)
”…待って!”(女の子をおいて追いかける)
”ハア…ハア…やっと追いついた…”
”…あの子の事、いいの?”
”…思い…出したんだ…”
”ホントに…?”
”…ホントだよ”
”嬉しい…!リョウ君…好き”
”…俺もだよ××××”
………って×の数1個多いやんけ!!!!!
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~ある少年と少女のはなし~
少年は少女のことが好きでした。ずっとずっと好きでした。ある時、少女は親の都合で遠い遠いところに引っ越すことになりました。少年は思いを伝えるため、少女を屋上に呼び出しました。誰もいない放課後の屋上。とてもとても綺麗な夕焼けが見えました。少年の心臓はドキドキドキドキと校庭に響きそうなほど高鳴っていました。待ち合わせの時間になりました。少女はまだ現れません。少年はせっかくカッコつけて端っこの方に座っていましたが、なんだかそわそわして、屋上の入口の方に歩いて行きました。そしてそれを3回も繰り返しました。しかし少女はまだ現れません。少年の鼓動は更に速くなりました。少年は待ち合わせの紙を読み直しました。日付も時間もあっています。少年は少し息が苦しくなってきました。校庭の影もまばらになって少年がせっかくリサーチしたベストな夕焼けの時間がどんどん過ぎて行きました。しかし少女はまだ現れません。そのうち下校時間を過ぎてしまいました。少年は教室に自分の荷物を置いたままでした。少年は真面目でしたから、どんどん不安になってきました。少年は初めて校則を破ってしまいました。しかし少年は少女のことを待ちました。少年の鼓動は更に速くなりました。今にも爆発しそうなくらい速くなりました。そのうちすっかり日も暮れてしまいました。しかし、まんまるの月がとても綺麗でロマンチックでした。少年はもう一度待ち合わせの紙を読み直しました。やっぱり日付も時間もあっていました。少年は待ちました。朝が来るまで待つ覚悟で待ちました。途中、コツコツと足音が聞こえ、少女が来たと思いましたがそれは警備員のものでした。やがて本当に静かになりました。少年の鼓動はもうすでに爆発してしまっていて、あたりはしんと静まっていました。少年は待ち合わせの手紙を読み直しました。どうして彼女は来ないのでしょう。少年は考えました。考えましたが分かりませんでした。少年は月がてっぺんに登った後に家に帰りました。両親にも先生にもひどく怒られました。少年はシクシク泣きながらベッドに入りました。
………少年には自分で書いた手紙を少女に出す勇気が足りなかったのでした。
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~遠い遠い過去か未来かのはなし~
”またね、バイバイ”
彼女はいつもそう言って僕と反対のホームへと向かう。
”バイバイ”
僕は少し緊張して、でもそれを決して出さないようにして彼女に返事をする。
きっと片思いのまま終わるのだろうけど、そうじゃないことも何処かで願ってしまう。
”またね、バイバイ”
私はいつもそう言って彼と反対のホームへと向かう。
”バイバイ”
彼の声はいつも優しくて、あぁ帰りたくないなあって、同じホームならいいのになあって、でも結局私からは何も言えないで。振り返る勇気もなくて。
ホームに上がると君はスマホを見ている。視線を送るのが怖い。僕もスマホを見るしかなくなってしまう。立ち幅跳びでは越えられない線路1個分のキョリ。
向こうのホームに君を探してしまわないように、私はスマホの小さい画面を見つめる。こっそり上目遣いで君の方を盗み見たいけど、変に思われたりしないかなって、やっぱりやめる。地球と月より遠いキョリ。
駅にアナウンスが響く。電車がやってくる。二人を隔てる電車が轟々と音を立ててやってくる。二人に許されるのはその一瞬。二人は同時に顔上げ、お互いを永遠に見つめ合う。時が止まる。
…目が合うと同時に、かき消される永遠。そしてそれさえも心地よくて。
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恋に、恋してます。
変わらない
私に始めて気になる人ができたのは小学生の頃でした。
その人は優しくてとても面白い人でした。また、誰に対しても対等に話すことができた人なのでクラスの誰からも人気がありました。先生に対しても礼儀が正しく、この人は大人だなぁと小学生ながら思ってました。
小学生の頃は恋とかあまり知らなかったのでただ一緒に話してるだけで楽しかったという感じで終わりました。
中学生になるとクラスが別々になり、会うことも話すこともなくなったので、この先もう関わることもないんだろうなと思い、だんだん気持ちが遠のいて終わりました。
その後、高校受験を終え、高校生としての生活が始まりました。
びっくりしました。
その人も同じ高校に入学していました。あ、あの人だと、この漫画みたいな奇跡にただ驚きました。
小学生の頃から性格は変わっておらず、相変わらず大人だなぁと感じました。
その人にはこのことを何も伝えてはいませんが、前と変わらないでいてくれることはすごく嬉しいことだと思いました。
高身長・包容力・年上
私の初恋は幼稚園の年長さんのころ。
お相手はたろうくん。
苗字は忘れちゃったなぁ。
「好きな人がいるの」と言ってみたくて、
見栄か嘘か、私は出会った時の事からやり取りした手紙の内容まであることないこと母に話していました。
好きになった理由も、プールの時にビート板貸してくれたとかそんなもん。チョロすぎる。
わざわざ可愛いレターセットを彼のお姉ちゃんからもらって手紙をくれたこともありました、私も返事を書くのがたのしかったなぁ。
中身は秘密(覚えていないだけ)
たろうくんとはよく昼休みに待ち合わせしていました。
これは、私の勝手なイメージなのですが、
体育館裏に屋根裏、裏技に裏メニュー等々、裏とつくものにはロマンがあるなぁ、なんて思います。
何を隠そう、その待ち合わせ場所もですね、
幼稚園にある、かなり年季の入ったウサギ小屋の「裏」だったんです。
体育館裏には勝てませんが、なかなか可愛いらしいんじゃないでしょうか!
ですが...この待ち合わせ場所にはちょっとした問題があるのです...えー、コホン。
「”なんということでしょう!”
当時幼稚園にあったウサギ小屋は円柱形、......裏?裏って?
ウサギ小屋の裏を目指したってたどり着けるわけないんです!だって、だって全部表を向いてるんだから!
裏という言葉の持つひっそり感がまるでゼロ......
匠の粋な計らいで幼稚園児の待ち合わせはめちゃくちゃです!」
たろうくんを待ったり待たせたり......
なんだかんだ言ってたろうくんとの待ち合わせ場所を変えないあたり、私もウサギ小屋を気に入っていたのかなぁ、なんて思います。
現に私の記憶も「ウサギ小屋>たろうくん」ですし。
たろうくんに会うためのはずが、
いつしかウサギ小屋に通うためになっていた...?
ち、違います、私の初恋はウサギ小屋相手なんかじゃありません。
......まさかね。
安孫子 朋佳